オープンマインドで食生活をガラッと変えて大躍進したジョコビッチ
先頃のパリ五輪でセルビアのテニス選手、ノバク・ジョコビッチ(37歳)が金メダルを獲得しましたね。
新型コロナワクチン非接種のジョコビッチは2022年の全豪オープンに出場できなかったのですが、その後はそうした問題が起きることもなく、生涯ゴールデンスラム(四大大会全制覇+オリンピック金)を達成。
彼は14年前に一大決心をしてグルテンフリー、乳製品フリー、精製糖フリーの食事に切り替えているのですが、この食生活の大転換がなければ、この偉業は達成できなかったでしょう。
YouTube: 【テニス男子】ジョコビッチが悲願の金メダルで涙。"生涯ゴールデンスラム"達成!|パリオリンピック テニス男子シングルス決勝
ジョコビッチは幼い頃からテニスの才能を見込まれ、努力も惜しまず、体調管理にも努めてきたにもかかわらず、19歳の頃からここ一番の大勝負というときに呼吸困難に陥り、動けなくなるということが何度となくあったようです。
本人も周囲もその原因が何なのか特定できず、そこそこ良い成績を収めながらも、世界のトップは狙えないような状態が続いていました。
そして、2010年1月(22歳)全豪オープンで勝ち上がり、準々決勝でフランスのツォンガと対戦。
YouTube: Tsonga vs Djokovic - Australian Open 2010 QF Full Match
ジョコビッチはまたしても、第4セットから体調を崩し、メディカル・タイムアウトまで取りましたが、結局敗退してしまいます。
本人は当初この試合を「プロ生活最低の瞬間」と思っていたようですが、後に「一番幸運な瞬間」と考えを改めています。
有名な話なのでご存じの方も多いと思いますが、セルビア出身の栄養学者がたまたまこの試合をテレビで見ていて、ジョコビッチの体調不良は食べ物から来ていると見抜き、友人(ジョコビッチの父親の友人でもある人)を通して、ジョコビッチに連絡を取り、貴重なアドバイスを与えたのでした。
テレビ観戦で問題を言い当ててしまうこの栄養学者もすごいのですが、ピザ屋の息子であるジョコビッチが、知り合ったばかりの栄養学者の助言(血液検査の結果に基づくもの)を受け入れ、小麦、乳製品、トマトを食べるのをやめたことが何よりすごいです。
そして、体に合った食事に切り替え、翌年(2011年)からは四大大会で優勝できるほどのトッププレイヤーに変身してしまいます。
ジョコビッチの2013年の著書 ”Serve to Win”の邦訳版『ジョコビッチの生まれ変わる食事』によると、共産主義体制下で育っているので、自国の食文化しか知らなかったのだけど、プロテニス選手になって海外各地を転戦するようになり、新しいものを受け入れる素地ができあがっていたようです。この本には、
テニスが私に与えてくれたのは単なる富と名声だけではないし、好きなことで生活できる機会、あるいは他のだれか、特に同胞のセルビア人に感動を与えるチャンスだけでもなかった。テニスが与えてくれた一番の贈り物は、海外を旅する機会だ。他の文化を目にする機会を与えられることにより、さらに開かれた思考を手にすることができたのだ。
前にも言ったが、共産主義体制下で生きるということは、オープンマインド(開かれた思考)になるよう教わるチャンスがないということだ。
そこには理由がある。オープンマインドでなければ、簡単に他人が操ることができるのだ。だから上層部はつねにわれわれが今まで教わってきたことに疑念を抱かないよう、細心の注意を払っていた。共産主義の指導者であれ、食品および製薬会社の経営陣であれ、上層部の人間は私たちの大部分が恐怖に左右されていることをよく知っている。
独裁体制下に暮らしていなくても恐怖に操られることはよくあることだ。今日の、あらゆる国で今も恐怖は続いている。われわれは十分に満たされないことを恐れている。だから私たちはこれでもかというほど働きまくり、歩みを緩めることを恐れるからファーストフードや加工食品で空腹を満たしている。
すると私たちの肉体が抵抗する。そしてお腹が痛い、頭痛がする、背中が痛むといって病院に駆け込むわけだ。私たちは治癒を望み、症状を抑えるための錠剤をもらうが、この錠剤は私たちの本質的な問題を絨毯の下に押し込んで隠すだけだ。
これがそれまでの私の生き方だった。私は単なる食べ方だけでなく、食物全般について学び直す必要があった。
私は他の文化における食べ物について教わることがなかった。寿司のことも、中華料理のことも知らなかった。しかし、今や私の献立はこういう東洋の料理抜きにしてはありえない。
と書かれています。
20代前半で子どもの頃から慣れ親しんできた食生活と決別するというのは、なかなかできないことです。やはり一流の人は凡人とは違うのですね。
また、同著書には次のようなことも書いてあります。
幼い頃からずっとパンと乳製品を食べ続けたせいで、肉体がこういった物に敏感になってしまったということは十分にありうる話だった。われわれの肉体は幼い頃からさまざまな試練にさらされることになる。それは福音でもあり、ある種の呪いでもある。まだ体が若くて強靱な頃なら、病気になったり疲れを覚えたりすることもたいしてなく、悪い食べ物やストレスにも対抗できたかもしれない。だが年齢を重ねるにつれ、これまでの食べ方や生き方にしがみついていると、様々な問題に直面することとなる。だから、食べ方を変える必要があるのだ。
日本人は欧米人に比べると、小麦や乳製品の摂取量が少ないので、ジョコビッチほどの激しいアレルギー症状を起こす人は珍しいかもしれません。
でも、「喘息(ぜんそく)」「鼻炎」「気管支炎」「過敏性腸症候群」「花粉症」その他諸々の病気(症状)に悩む人は多いですよね。こういう人たちは、グルテンフリー、乳製品フリーの食事をしたら健康状態が大幅に改善するのではないでしょうか。
ジョコビッチは、上掲の本の時点(2013年)では、グルテンフリー、乳製品フリー、精製糖フリーであるものの、動物性食品も取っていました。
しかし、次の動画(2019年)によると、彼の食生活はその後どんどん進化し、2019年現在では "Plant-based" (植物性)といっているので、動物性食品はもう取っていないようです。オープンマインドでより良いものを追い求めていく姿勢、素晴らしいです。
YouTube: ノバク・ジョコビッチが「最も検索された質問」に答える | Autocomplete Interviews | WIRED Japan
【2:37】
Q: 朝食は何を食べているのか?
A: グリーンジュース、各種コールドプレスジュース、スムージー、フルーツ、オートミール、チアプディングなど。マンゴーが大好き。
Q: 試合中は何を食べている?
A: デーツ。デーツしか食べない。デーツは食後の血糖上昇を示すグリセミック・インデックス(GI値)が低く、血糖の急激な上昇・下降がないので、適切な血糖値・エネルギーレベルを維持できる。自分にとても合っている。ここ10年間、試合中はデーツしか食べていない。
上掲の2010年の全豪の動画を見ていると、ベンチでジュースを飲んだりスナック菓子みたいなもの(エナジーバー?)を食べたりしていますが、今ではデーツだけなんですね!
【5:28】
Q: グルテンフリー?
A: 2010年からグルテンフリー、乳製品フリー、精製糖フリー。それに植物性の食事(菜食)をしている。この10年間で進化したんだ。健康状態が全体的に向上し、よく眠れるようになり、アスリートとしては、回復力やコートでの集中力が増し、走るのも速くなった。また、地球の持続可能性の点でも菜食がいいと思っている。
また、ジョコビッチは食事の前には必ず短い祈りを捧げるそうです。食べ物があることは当然のことではなく、恵みなのだと自分に言い聞かせているとか。
そして、食事中は食べることに集中し、テレビを見ながら、Eメールを読みながら、誰かと長々話をしながら、なんてことはしないそう。この作法は「ロー生活を成功させる鍵は咀嚼にあり!」に書いたトーニャさんお勧めの咀嚼練習法に似ているなと思いました。
私はこれまでジョコビッチの著書の存在は知りながらも読む気にはなれず、彼のテニスの試合も見たことがなかったのですが、今回記事を書くにあたって、本を読んだり動画を見たりあれこれ調べているうちに、私の中で彼の好感度が急上昇💕これからも注目していこうと思います。
※関連記事
なにはともあれ牛乳・乳製品をやめる(2017.3.24)
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