美しき緑の星: お気楽人生手帖

2023年10月 6日 (金)

美しき緑の星

スピリチュアルや菜食に興味のある人たちの間で話題になっている1996年のフランス映画『美しき緑の星』。

急に思い立ってDVDを買い、さらに勢いで同名の電子書籍も買ってしまいました。

この勢いに乗って、今日はこの映画について書きたいと思います。

ハリウッドで大ヒットしたコメディ映画「スリーメン & ベビー」の原作者、フランス映画界の巨匠コリーヌ・セロー監督が描く、宇宙から見た地球という惑星の世界。

地球よりも遥かに小さな惑星である美しき緑の星は、豊かな自然に恵まれ、人々は自給自足で助け合う循環社会を形成している。大都市も身分制度もないユートピアの美しき緑の星の住民にとって、貨幣制度や戦争を繰り返す地球という惑星は、極めて原始的な文明レベルにあるだけでなく、まるで地獄のような星。

美しき緑の星には「星外派遣」という任務があり、文明化が遅れている惑星に美しき緑の星の住民が派遣され、その星の現状を調査したり、文明の方向性を軌道修正したりする。

「わたし、行ってみたいわ」危険な惑星である地球への派遣に、美しき緑の星の住人は誰も手を挙げて行きたがらない中、勇気ある主人公ミラ（コリーヌ・セロー）が地球派遣の任務に1人手を挙げる。

そして、美しき緑の星、宇宙の常識から見た、今の地球は一体どんな視点で見えるのか。

出所：Amazonの商品の説明

自然崇拝の大真面目な映画だと勝手に思い込んでいたのですが、蓋を開けてみたら、フランス風の風刺の効いたコメディで、とても面白かったです。

この映画を「明るいゼイリブ」と評している人がいましたが、私はどちらかというと小説『アミ小さな宇宙人』に近いように思いました。

アミは「先進文明世界には都市は存在しない」と言っていて（関連記事：人間の住むところ）、この緑の星も都市はおろか、建物すらなく、人々は自然の中で寝起きして、自然にあるものを食べています。

加熱調理はしないので、ローフーディスト。肉は食べないけど、動物の乳を絞って飲んでいるので、ヴィーガンではないですね。

言葉を使った会話もしているけれど、テレパシーも使えます。水に足を浸すと、テレパシーによる国際通信、惑星間通信もできます。超便利。

自然に即したストレスのない生活のおかげか、この星の人たちの寿命は200歳代半ば。主人公のミラは150歳で、ご主人は143歳で事故死して、周囲は「早死にしてお気の毒に」という感じ。みなさん長命です。

また、派遣先の星の住人に気づきを与えるため、地球に派遣されるミラには「接続解除」（覚醒）の電波を送る能力も与えられ、ミラと会話した地球人は、それまで当たり前にやっていたことに疑問をもち、本来あるべき姿、取るべき行動に目覚めます。

会話での接続解除レベルは「弱」で小さな変化しか与えられませんが、ミラが頭を振って強い電波を送る「強」レベルの接続解除を行うと、対象者はそれまで自分を縛っていたものから完全に解放され、自由に思考、行動するようになります。

一定数（少数）の人に気づきを与えたら、あとは現地のなりゆきに任せ、決して過度に介入しない、というのが先進文明世界の人たちの考え方みたいなので（アミもそう言っていた）、ミラも接続解除は限定的に使用していました。

この映画は、コリーヌ・セローが監督・脚本・主演で、音楽も作曲しており、彼女の渾身の力作なのですが、評論家からは酷評され、観客動員数も伸びず、あげくに訴訟を起こされて敗訴し、チャリティビジネスを皮肉った場面を削除せざるを得なくなったそう。（そういうわけで、DVDにこの場面はありませんが、書籍の中にあるシナリオにはあります。）

精神的にも経済的にも大打撃だったと思います。

でも、その後、インターネット上で情報交換がなされ、内輪の上映会や地域のフェスティバルでの上映などによって、この映画の魅力を理解できる人たちからじわじわと支持を集めはじめます。

そして、脚本を書籍化してDVD付属で出版するという話が舞い込んだとき、コリーヌ・セローは感無量だったと書籍のあとがきに書いています。（日本ではDVDと書籍は別々に販売されています。）

時代の流れとともに、この映画の内容を受け入れられる人の数が増えてきたのでしょうね。

万人受けする映画でないことは確かなので、拒絶反応を示す人もいるとは思いますが、精神世界が好きな人、菜食、自然派の人は共感できるところが多いと思います。

◇ ◇ ◇

余談ですが、『アミ小さな宇宙人』は絶版になってしまったのですね...😭

古本が高額でびっくり😲 図書館の予約待ち人数もすごい数。

まだ読んでいない人たちにもどんどん読んでほしいので、再版されますように🙏

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