人体における酸性とアルカリ性(その1)
巷ではアルカリ性の水を飲むのが体に良いという説が結構支持されているようですが、今日はこの説を否定する考え方を紹介したいと思います。
次の動画(2013年公開)は30分以上ある上に、話が専門的で難しいということもあり、記事にするのはこれまでずっと避けてきたのですが、あらためて聞いてみると、非常に深い、ためになる話が目白押しなので、思い切って取り上げることにしました。
この中でマーカスさんは「アルカリ水は飲むな!」と言っています。
そして、古いマーカス動画によく登場するジェームズ(James Sloane)さん(※)に解説を求めています。
※ジェームズさんはER(緊急救命室)に13年間勤務した後、嫌気がさし、薬と手術の世界から離れ、自然の薬草や自然療法で人々を助けることにしたという方
YouTube: The ALKALINE MYTH and HYPE- The Acid-Alkaline Truth EXPOSED
体は部位によってpHが異なるということを理解する必要がある。
例えば、胃は酸性でなければならない。
皮膚は弱酸性で過度にアルカリ性に傾けば損傷する。
腸内にも弱酸性の部位がある。
体に酸性の部位があるというのは、病原菌の制御が目的だ。
よく聞く通説で、アルカリ性だと病原菌が死に、酸性だと病原菌の増殖が促進されるという話がある。
しかし、実際は逆だ。
皮膚の表面には善玉菌がいて酸を産生し、皮膚を守っている。
胃も胃酸によって、病原菌を殺し、体を守っている。(関連記事:まるごとレモンドリンクで感染症対策)
例えば、野生の犬は死後2~3週間の腐敗した病原菌だらけの肉を食べても、病気にならない。
野生の犬の胃酸は人間よりも10倍ぐらい強力で、この強酸が病原菌を殺しているからだ。
イースト菌はアルカリ性の環境で勢いよく増殖する。
女性が抗生物質を服用してイースト菌感染症(膣カンジダ症)を発症するというのもこのケースだ。
酸を産生してイースト菌を抑え込んでいた細菌を抗生物質が殺してしまい、イースト菌が増殖した状態。
イースト菌は二形性の微生物で、酸性の環境ではカンジダ成長遺伝子のスイッチがオフの状態となっている良性型だが、(抗生物質で善玉菌が殺された場合など)アルカリ化が進むと、カンジダ成長遺伝子のスイッチがオンになって、菌糸型の真菌に変身する。
菌糸型の真菌となったイースト菌は組織に食い込んでいって組織を損傷させてしまう。(関連記事:生野菜を食べるとお腹が張る?)
また、別の通説に「がんはアルカリ性の環境では増殖できない」というものがあるが、これはまったくのデタラメだ。
がん細胞内部のpHは正常な細胞よりアルカリ度が高い。
よくがん細胞は乳酸を産生すると言われているが、実際がん細胞が産生しているのはラクテートで、これは酸性ではない。
酸性は水素陽子から来ており、がん細胞はこの酸度に耐性がないため、水素陽子を外基質に送っている。
つまり、がん細胞は自らを守るために酸性の水素陽子を除去しているだけで、がん細胞はアルカリ性の環境でも生存し、増殖できる。
アルカリ化させたいなら、激しく呼吸すればいい。(関連記事:健康・長寿の鍵はリンパ)
勢いよく二酸化炭素を吐き出すことによりpH値が上がる(アルカリ化する)。
激しく呼吸して過換気状態になると最終的には意識を失う(気絶する)。(関連記事:太ってしまう人たち)
この理由は、血管を開放状態にしておくには二酸化炭素(厳密にいうと炭酸)が必要だからだ。
アルカリ化すると血管が収縮し、脳への血流が減少して気絶する。
気絶状態の人は呼吸のペースが遅くなるか、あるいは一時的に呼吸が停止する。
こうすることで、炭酸の量を再び増やして血管を拡張し、脳への血流を回復させている。
pHを強制的に上げたり下げたりすることはできない。
人体は常にpHの調整を行っているので、人為的に強制的にpHを上げ下げすると、体に負荷がかかることになる。
マーカスさんやマーカスさんがインタビューしている人たちの話を初めて聞いた頃は、世間一般の常識とあまりにも違うというか、正反対だったりするので、驚きの連続でしたが、今となっては非常に理に適っているなぁと思います。
病原菌を殺すために酸性となっている部位(胃、腸、皮膚など)、酸性だと都合が悪いのでアルカリ性の部位(口内など)というのは、宇宙の創造主がすべてを見越してバランス良く設計したもの。
人体内では様々な要因を加味して、pHの調整が行われています。
良かれと思ってやっていることが、実は有害だったりするので、体の仕組みを理解しておくことが重要ですね。
今日の記事は動画の最初の5分だけなんで、まだまだ続きます。
あと何回で完結できるかなぁ(笑)
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