大往生したけりゃ医療とかかわるな
先日読んだ『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(中村仁一著)という本が面白かったので紹介します。
- 著者について(Amazonの商品ページから転載)
1940年長野県生まれ。社会福祉法人老人ホーム「同和園」附属診療所所長、医師。京都大学医学部卒業。財団法人高雄病院院長、理事長を経て、2000年2月より現職。一方、「同治医学研究所」を設立、有料で「生き方相談」「健康相談」を行う。1985年10月より、京都仏教青年会(現・薄伽梵KYOTO)の協力のもとに、毎月「病院法話」を開催。医療と仏教連携の先駆けとなる。1996年4月より、市民グループ「自分の死を考える集い」を主宰し、2011年9月で16年目になる。主な著書に『老いと死から逃げない生き方』『幸せなご臨終――「医者」の手にかかって死なない死に方』(ともに講談社)がある。
- 目次
第一章 医療が“穏やかな死”を邪魔している
第二章 「できるだけの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」
第三章 がんは完全放置すれば痛まない
第四章 自分の死について考えると、生き方が変わる
第五章 「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらがわず、医療は限定利用を心がける
終章 私の生前葬ショー
私は文章フェチというか、文章の好き嫌いが結構はっきりしているほうなのですが、この著者の文章表現は非常に私好み。冒頭の「はじめに」からグイグイ惹きつけられました。
(前略)
なお、私は、本書の中で「認知症」という言葉は一度も使わず、“ぼけ”とか“頭が不自由”と表現しています。“患者さま”という言葉と同じくらい、どうしても好きになれないからです。
介護現場では、「認知が進んで」などと使われる場合があります。「おいおい、それだとよくなっているんじゃないか」と突っ込みたくなります。
いずれにしても、「認知症」はわけのわからない言葉です。“ぼけ”などの言葉が気になる方は、とばして読んでください。
私などは、有名人じゃないので失うものがない、おまけに先が短いので恐いものがありません。いろいろ好き勝手に書かせていただきましたが、ほんの少しでも、参考になれば、望外の喜びです。
頭が不自由になりつつある後期高齢者の親をもつ身としては、読み進むのが辛くなるような内容もあるんですが、全体としては、軽妙な文章のおかげで、楽しく(時には大笑いしながら)読了できました。
また、医師でありながら、自然治癒力の重要性を力説してくださっているのも、非常に好感がもてました。
1.ちょっと具合が悪くなると、すぐ医者にかかる
国民皆保険によりわずかな自己負担金で、手軽に医者にかかれる状況にあることや「素人判断で様子見していて、手遅れになったらどうするのか」という医療側の脅しが利いているせいで、ちょっと頭が痛いだけですぐCT検査を希望するような情勢が続いています。
原因療法があるため受診した方がいい病気は、そんなに多くはありません。病気を治す力の中心をなすものは、本人の自然治癒力(後で詳述)です。
したがって、薬は援助物資であり、医療者は援助者にすぎません。風邪など、原因の大部分がウイルスである場合は、安静、保温、栄養の下、発熱の助けを借りて自分で治すしかないのです。医者にかかったからといって早く治せるわけではありません。
(中略)
だいたい、日本人は医者にかかりやすいとはいえ、あまりにホイホイと病院へ行きすぎるのです。元来、病院は「狭い」「臭い」「暗い」もの。最近は建て替えられて外観はきれいになり、かなり解決されました。しかし、依然として「汚い」「危ない」「恐ろしい」ところであることには変わりはありません。
だから、軽い病気で病院に行って、重い病気をお土産にもらって帰る可能性は十分にあるのです。
それゆえ、本来、病院は“いのちがけ”で行くところなのです。
このブログの自然治癒力カテゴリーに関心のある方には興味深い内容だと思います。まだ読んでいないという方は、是非ご一読を。
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コメント
こんにちは!
おもしろそう!!
…ってよりは、当たり前なことが書いてそうな気もしますが、
重いことを軽快な表現で伝える勉強になりそうでいいですね!
私もちょうど明日図書館に行く予定だったので探してみようと思います!
なんてったって、老いは避けられませんからね~。
自然に穏やかに老いを迎えている先輩がたのご意見は
ぜひ参考にしたいものです!
ご紹介、ありがとうございます!
投稿: 黄菜しろ | 2013年12月 5日 (木) 00時54分
★ 黄菜しろさん
こんにちは~。コメントありがとうございます!
興味をもってくれて嬉しいです。自然治癒力の辺りは既知情報だったんですが、自分だけでなく、周囲にも自分の方針を伝えておくことの重要性など、私にとっては結構新鮮な内容もありました。いったん救急車に乗ってしまうと、医療のフルコースに自動的に進んでしまうみたいなので、うかうか人前で倒れられません(笑)。この本を読んだら、孤独死って、意外と幸せなことなんじゃないかと思えたり、色々と考えさせられました。
とうとう凛ちゃんもみんなに合流して、全員いっしょに、新しい年を迎えられそうですね。ほんと、良かった!鼻水吸引器、思わず笑っちゃいましたよ。猫さんにも使えるとは、びっくりです。悪いものはどんどん出さなきゃいかんなあ、と私もあらためて思いました。
投稿: Norah | 2013年12月 5日 (木) 12時51分
こんにちは!
読みましたよ~!
本当に読んで良かったです!
ありがとうございました!!
本当に医療フルコースにはお世話になりたくないですね。
でも、現代社会ではやむを得ないんでしょうね。
医師が放棄するわけにはいきませんから。
利益重視の悪どい医者でなくて、それが責任感や使命感からだとしても私はごめんですけどね…。
誰のせいにしないためにも、自分で自分の意思を整理し、
他人に迷惑かけないで済むようにしておこうと思います!
そして何よりも、黄菜を看取った時、
黄菜が苦しそうに見えなかったのはやっぱり私の思いこみじゃなかったと
確信が持てたことにも感謝です。
別れは寂しいけれど、
今ではあまりに穏やかな旅立ちを見せてくれた黄菜が
羨ましく感じることさえあります。
私もぜひあんなふうに旅立ちたいって…。
目標があるからこそ、いつかは来るその時まで、ますます逞しく生きていこうって思えます!
お互い充実した生と思い描く旅立ちが迎えられるよう、
ますますGoing My Wayですね☆
投稿: 黄菜しろ | 2013年12月 8日 (日) 14時32分
★ 黄菜しろさん
おお。もう読んじゃいましたか。早業ですねえ。。。(驚)
>現代社会ではやむを得ない
そうですね。美食飽食で運動しないでストレス抱えていたら、どうしても最後は医療に頼らざるを得ないでしょうね。
この本では生活習慣病は治らない、なんて書いてありましたけど、医療では治せないってだけの話で、生活習慣を変えれば、治るんじゃないかなあと思ってしまいます。ま、生活習慣を変える気のない人が大多数で、そういう方々が超高齢者になった場合、手遅れ状態で、生活習慣病は治らないってことになっちゃうんでしょうかね。
私もこれまで学び取ったことを実践しつつ、この本に書いてあったような準備をしておけば、最期は自然に逝けるんじゃないかと楽観的に考えています。
ほんと、ますますGoing My Wayが加速しそうです(笑)。
投稿: Norah | 2013年12月 8日 (日) 18時35分
のらさん
お久しぶりです。
いい本をご紹介いただいてありがとうございます。
そうそうマーカムさんの本、とっくに自宅に届いていますよー。とっても勇気づけられます。がんばりたいところなのですが、今、要領悪い私ゆえ毎日バタバタで、心をなくしています。。
やっぱり生活習慣なんですよね。これ飲んだら大丈夫とかね、そういうもんがあればなあなんて、まだ思う雑念だらけの私でもあります。
のらさん、今年はどんな年でしたか(もう?)
私は今年は散々な年でしたよ(笑)なので来年一層がんばらなくては(笑)反省だらけなんです。
のらさんのお陰様で、今年も気づきをたくさん頂けましたよ。(実践は、、、汗)本当に感謝しています。
のらさん、悪癖を変えられない未熟すぎるわたしですが、興味だけはあるので、見捨てないでくださいねェ(笑い)
またきます(^^)
投稿: ひろりん | 2013年12月20日 (金) 16時19分
★ ひろりんさん
こんばんは~。コメントありがとうございます!
更新さぼってて、すみませ~ん。
年末らしいこと、まだ何にもしていないんですけど、なんだかかんだで、12月下旬。。。(汗)
私もなかなか理想どおりに行かなくて、反省ばっかりですよ。今年は、秋に始める予定だったことが、気持ちがのらず、ずるずると先送りにした結果、とうとう年越し案件になってしまい、自分の実行力のなさに愕然とした年でした(笑)。
年内にやらなきゃいけないことや年明け早々動かなければいけないことなど、今までのツケを払うのに当分追われそうで、ブログの更新が危うい状態ですが、とりあえず細々続けていきたいとは思っているんで、気長に、お付き合いいただけると嬉しいです。
投稿: Norah | 2013年12月20日 (金) 18時41分