スピリチュアルと執着と菜食
日本でスピリチュアルというと、江原啓之さんや美輪明宏さんを連想する人が多いのでしょうか。近頃テレビをほとんど見ていないので、このお二方の最新動向はよく知らないのですが、10年ぐらい前に著作を読んだときは、いわゆるオカルト系のスピリチュアルだなと思った記憶があります。前世がどうとか、霊魂が憑依したとか、霊媒師として故人と交流するとか。
一方、最近このブログで取り上げているエックハルト・トール (Eckhart Tolle)さんは、オカルト系ではないと私は思っています。心理学、哲学、各種宗教の教えを加味しながら、精神世界を物質世界と対比させて説明するというアプローチです。これって、どこに分類されるんでしょうか。ニュー・エイジ系? でも、ちょっと違うような気もします。 エックハルトさんは、「人や物事にレッテルを貼ってはいけない」と説いているので、無理に分類しないほうがいいのかもしれませんね。
私がエックハルトさんのアプローチに関心をもっているのは、自助努力で自己改革ができそうと思えるからです。自分のエゴ(自我)やペインボディ(ペインボディの解説はこちらが分かりやすいと思います)を黙らせて、過去でも未来でもなく、今現在の自分に意識を集中させること。これを実行することによって、人生の質が大きく向上しそうな気がするんです(まだ実行できているとは言えないレベルですけど…)。
それに対し、オカルト系だと、特殊能力をもった人に頼ることになり、他者に依存している感がぬぐえません。私は過去記事(「超能力開発」)にも書いたとおり、不思議な力に関心がないわけではありません。不思議な世界をのぞいてみたい気持ちはあるのです。でも、それは自分にそういう力があったらいいなあという類いのもので、他人様の力を借りてまでしなくてもいいかなと思っています。
他人様の力にすがろうとする人の中には、精神世界に惹かれながら、物質世界に強く執着している人がいます。御利益があるとかいう触れ込みの奇妙なアクセサリーや置物に夢中になっていたり…。霊感商法って、そうした需要がある故に成り立っているのでしょうが、精神性(霊性)を高めるのに、他人が勧める訳の分からない物(それも法外な値段のついている物)を身につけたり、身の回りに置いたりする必要があるのでしょうか。
エックハルトさんがどこかのリトリートで次のようなお話をされていました。
金儲けに人生を捧げてきた男性で、車は絶対にBMWというこだわりをもっている人がいた。あるとき、彼はスピリチュアルに目覚め、「目覚めたからには、今度は自動車じゃなく、自転車だ!」と言い出した。
最初この話を聞いたとき、これはこれで良いのではないかと思ったんですが、エックハルトさんの解説によると、「自動車より自転車のほうが上」みたいな考え方は、「大衆車より高級車のほうが上」という考え方と変わりがない(もしくは、より重症)とのこと。
なるほど、と思いました。確かにこれはエゴ(自我)のなせる技ですよね。優越感をもちたいがために、特定のものに執着しています。
同様の例として、エックハルトさんは「菜食者は非菜食者よりレベルが上」みたいな考え方も問題だと言っておられ、菜食者の端くれとして、ちょっとドキッとしました。エックハルトさんは、そういうことを豪語する人たちはアドルフ・ヒトラーも菜食者だったことを知らないのだろう、と言っていました。
菜食者としては、ヒトラーを引き合いに出して菜食者を貶めるのは勘弁してほしいのですが、上記のエックハルトさんの指摘はもっともだなと思いました。菜食者の中には、肉体は健康かもしれないけど、精神面で問題あるなあという人をたまに見かけますから。それに、なんてったって、私も菜食者なんで、必ずしも「菜食者=人格者」とならないことは断言できます(笑)。
特定の物や考え方に対する執着を手放すって、「言うは易く行うは難し」ですが、これには、エックハルトさんがよく勧めている「自分の感情を観察する」のがいいのかなと思っています。自分を客観的に観察して、なんでこんな物(事)にこだわっているんだろう、って考えているうちに、そのこだわりが馬鹿馬鹿しく思えて、自然と手放せるようになるんじゃないかと期待しています。
| 固定リンク | 7
「菜食主義」カテゴリの記事
- よいお年を(2024.12.27)
- 家畜制度全廃論序説(2024.11.29)
- オープンマインドで食生活をガラッと変えて大躍進したジョコビッチ(2024.08.30)
- 87歳現役日本人ボディビルダーの食生活(2024.08.23)
- 人と家畜(2023.10.20)
「人生哲学」カテゴリの記事
- 幸不幸を決めるたったひとつのこと(2023.09.22)
- 死後はどうなるのか(2023.09.01)
- 長い人生を気楽に生きる(2023.06.09)
- 真実を知って自由になる(2023.06.02)
「Eckhart Tolle」カテゴリの記事
- 健全な自己評価とは?(2015.04.24)
- 執着を手放そう!(2014.10.24)
- 未来は永遠に来ない(2014.07.28)
- ひとりごと(2014.07.05)
- エックハルト・トールさんの教え(瞑想とは)(2013.06.10)
コメント
今日の記事も相変わらず新たな視点を与えてくださるものですね。
毎度勉強させて頂いてます。
現代では、「拘り」という言葉をとてもいいものと意味で遣われたりしますが
悪く言えば自分が持っている偏見とも言えるなぁと思いました。
自分を客観視しているつもりでも、個人的にやっている断食を否定されるとイラっとしたり
ムキになって肯定したりするのは
まだまだ修行が足りない証拠ですね。
そうそう、動物占いを私もやってみました。
凄く当たっててびっくりしました。
投稿: モツ子 | 2013年4月25日 (木) 11時08分
★ モツ子さん
コメントありがとうございます!
こういう話題って、なかなか賛同してもらえないので、いちはやく共感のコメントをもらえて嬉しかったです。
>否定されるとイラっとしたりムキになって肯定したりする
まさに私もこの状況で、まだまだ修行が足りないなと日々痛感しています。
でも、自分がイラッとしたりムキになっていることを自覚するというのは進歩みたいですよ。
エゴが最大状態にある人は、そうした反応が問題だとさえ思わないみたいですから。
>動物占い
なんだか怖いぐらいに当たるのですよね。
自分や知り合いのキャラをチェックするととっても面白いです。
でも、今回失敗だったなと思うのは、エックハルトさんが「たぬき」だと知ったことで、あのたぬきの絵がエックハルトさんとだぶってしまい、エックハルトさんのお顔を見るたびにあの可愛らしい姿が頭に浮かんでくるんですよ~(汗)。
投稿: Norah | 2013年4月25日 (木) 17時35分
こんにちわ、以前いちどコメントさせて頂いた者です!
じぶんが日頃違和感もってる内容とめちゃくちゃ一致していて興味深かったです。タイトルにもやられちゃいました( ´∀`)
『人や物事にレッテルを貼ってはいけない』ホントそうですよね!
じぶんはひとのことも干渉しないかわりに自分のこともかまってほしくない系なんですけど、職場とかだとそうもいかなて、色々レッテル貼られまくってます、無視してますが正直めんどくさいです
『クルマより自転車のほうが上』のはなしも身につまされます、何事にたいしてもフラットなひとでいれたらなあとおもいます、まだまだですが。
投稿: seacretadventure | 2013年4月26日 (金) 10時13分
★ seacretadventureさん
こんにちは~。コメントありがとうございます!
こういう話、ローフード方面の読者さんにはウケないかなと思いつつ書いたんで、興味深いと言ってもらえて嬉しかったです。
>レッテル
みんな好きですよね。何かとべたべた貼ってきます。私も口には出さないまでも、つい頭の中で他人を過去のデータに基づいて分類仕訳してしまうので、気をつけなきゃいかんと思っています。でも、そういうことを問題だとさえ思っていない人がすごく多いので、世の中、大変です。人間観察の場と思って、さらっと流すしかないのかな。難しいですね。
>クルマより自転車のほうが上
これは盲点ですよね。自転車のほうがエコでいいじゃん! って思いがちですもん。「自分はみんなより上」みたいな考えが捨てられたら、自転車でも徒歩でも、あるいは、フェラーリでもベンツでも何でもOKなんでしょうね。
投稿: Norah | 2013年4月26日 (金) 12時37分
また来てしまいました★
お題とは関係なく申し訳ないのですが、じぶんはローフード実践など程遠い乱れきった食生活です。週1回の断食だけはなんとか続けていますが、まえコメントさせていただいたときから、あまり状況にかわりはなく、明日からしよ、と毎日言っているだめ人間です( ´∀`)次コメントくるときはスムージー毎日作ってます!とか言えるように小さくがんばります。ノラさんの文章すきです。仕事中の休憩とか、お仕事終わって読むと癒されます☆
投稿: seacretadventure | 2013年4月26日 (金) 15時58分
★ seacretadventureさん
こんばんは~。再度コメントありがとうございます!
食生活の改革は大変ですよね。私の場合、菜食は長いのでもう全然苦じゃないんですが、ロー率下がっちゃったり、糖質制限がうまくいってなかったり、なかなか理想の食生活になりません。でも、こういうマニアックな食事法とか健康法って、自分以外にだれも応援してくれる人がいないので、自分が自分の応援団になるしかないんですよね。
なので、seacretadventureさんも「週1断食が続いている自分」とか「自分の駄目さ加減に気付いている自分」を最大限評価して、自分の応援団になってあげてください。
投稿: Norah | 2013年4月26日 (金) 19時20分
こんにちは!
自転車&歩くの大好き人間です♪(笑)
どっちが上とかは思わないけど、
明らかに自動車が環境汚染に繋がってるのは事実なので、
地球に優しく自分を鍛えるのにも役立つ自転車&歩きは断然オススメですけどね☆
ただ、果物や野菜をお店に届けてもらえるのは流通が整ってるからで、私もその恩恵をいただいてることには変わらず、
否定だけではいけないと常々心してます。
その中でも、できるだけフードマイレージの少ないもの選びは心がけてますけど、あまりに世界規模の流通が整ってるので
私がそうしたくらいじゃ意味ないかもしれないけど、そのおかげで栄養価の高い新鮮な果菜に出会えるので、
結局は自分のためにそうしてるんだとつくづく思います(笑)
偽善やエゴというよりも、それが自然や生物にとって負荷が少ないなら、自己満足でいいのではないかと思います♪
全てに理由づけしちゃうのも結局エゴと言えばエゴで済んじゃいますしね~(汗)
自分がやってることが誰かの迷惑になるでもなく、何かのためになってると思えるなら、私は大いに自己満足したいな~!!
すっかり物欲もなくなっちゃた今(食欲はちっとも減らないんですけどね~(笑))、どんどん買っちゃうことはなくなったけれど、
やっぱり昔買ったお気に入りのものは大事に長く使ってますし、そういう拘りの心は大事かな~とも思います。(物もちの良さには驚かれることも多々あり…)
使わないのにただコレクションとかで集めるのは好きじゃないけど、今のように何でもかんでも安く手に入っちゃう時代は、簡単に買って、簡単に捨てて…寂しいな~と思います。(結局廃棄には不要な燃料もかかるし、自然には還らないものもたくさん作られてますしね。)
安いか高いか、どちらが上か…というより、自分が大事に長く最後まで使いたいものかには敢えて拘りたいな~と私は思います!
…と言いつつ、今のところ欲しいものはないんですけどね(笑)
たまにウィンドウショッピングしててもあまりに欲しいものがないので飽きちゃって、あっさり果物、野菜コーナーに移ってます(笑)
私はもはや彼ら(果物や野菜)のとりこ♪
この欲望には素直に従ってます♪(なんせ私の元気の素ですからね♪)
投稿: 黄菜しろ | 2013年4月30日 (火) 10時29分
★ 黄菜しろさん
こんばんは~。コメントありがとうございます!
私も青果コーナー大好きですよ~。自給できればいいけど、なかなかそうもいかないので、スーパーの青果コーナーが拡大されることを切望しています。
優越感(劣等感)みたいなものは有害だけど、日々の選択や判断で信念や信条をもつことが必要な場合もあると私も思います。食べ物にまったくこだわらないから毎日インスタントラーメンなんてのは論外だし、どこへ行くにも自動車ばっかりで全然歩かないのでは環境にも健康にも悪そう。
さじ加減が難しい問題ですが、とりあえず現時点での理解としては、他人に対して批判的にならず、自分が毎日上機嫌で過ごせるような選択ができれば、正解なんじゃないかと思っています。
投稿: Norah | 2013年4月30日 (火) 20時34分